
こんにちは!糸の帆(itonoho)のやまもとです。
Wilcom ESのグレードを選ぶ時に皆さんよく迷われるのが「ベーシック」と「デコレイティング」の比較です。同ソフトの中でも価格差があるので、具体的にどんな違いがあるのかというご相談をよくいただきます。
基本的には「やりたい刺繍」「お仕事のスタイル」「ご予算」などによってお客様ごとにご提案させていただくのですが、今回はその違いを簡単にご紹介させていただきます。
特にWilcom ESに「データ作成の効率化」や「デザイン性の向上」をお求めの方は、事前にご確認いただくことをおすすめします。
「ベーシック」と「デコレイティング」どうやって選ぶ?
はじめにザックリと想定ターゲットをまとめるとこんな感じ。
ちなみに最初に「デコレイティング」から始めてみて、あとから必要に応じて「ベーシック」にアップグレードすることも可能です。先を見据えたとき、最も費用を押さえられるスタートアップになります。
パッと見の違いはオプション機能の有無だけに見えるのですが、実はその他標準機能にも違いがある点に注意が必要です。
初心者さんがこうした細かい違いまで見極めるのはなかなか難しいと思いますので、具体的にやりたい内容やご予算などお知らせいただければ、いくつかおすすめパターンをご提案させていただきます。内容によっては逆に不要な機能もありますので、無駄を省く意味でもお気軽にご相談くださいませ。
以下「作業効率」と「デザイン性」の2つの視点より、その一例をご紹介させていただきます。
刺繍データ作成の「作業効率」に関わる違い

まずは「デジタイズツール」の違いです。これはマニュアルパンチに使われるツールなのですが、実はこの基本ツールにも大きな違いがあります。
ベーシック以上には「デジタイズツール」と「グラフィカルデジタイズツール」の両方が搭載されており、デコレイティングには「グラフィカルデジタイズツール(一部機能制限あり)」のみの搭載です。簡単にいうと「デジタイズツール」の方が高性能で、ショートカットの割り当てや、生成時の中抜き追加など一部操作性が異なります。
両者を使い比べて感じる一番の違いは、ツールを持った時の初期値(ステッチ数値・効果など)を登録しておけるところにあるでしょう。これだけでクリック操作の回数が大幅に削減され、操作性がグンと上がります。言ってしまえば最も頻繁に使うツールになりますので、実際に使えばその違いを体感できるでしょう。
ちなみにこの機能は初心者さんにとっても有利に働きます。販売店さん側で各ツールごとに適切なステッチを登録しておいてあげることで、初心者ユーザーさんが作ってもそれなりに整った刺繍データになりやすいんです。弊社でもお客様に合わせてセッティングしてあげることがありますが、逆にベーシックユーザーさんでこの辺りの設定をしていない方はすごく勿体ない使い方をしてる可能性が高いです。ぜひ一度チェックしてみてください。
あとは1針ごと入力できる「マニュアルツール」や、「スターツール」「リングツール」「基本形」「フリーハンド」といったツールも、ベーシック以上からの搭載となっております。
作業効率アップのための各種機能
その他、作業効率に関わる標準機能の有無がこちら。ご覧の通り沢山あるので今回説明は省きますが、私も普段よく使ってるツールが多々あります。なくても作れるけどあると便利な機能たちですね。
とはいえ、デコレイティングにもマニュアルパンチ効率化のカギとなるツールはちゃんと搭載されおりますので、家庭用ソフトから乗り換えのお客様も操作性の向上は十分に期待できます。Wilcom ES導入の目的も人それぞれで、お仕事のスタイルによって刺繍データ作成に時間がかけられる方と、かけられない方がいらっしゃいます。そのあたりの状況やご予算も踏まえつつ判断したいところです。
これから刺繍をお仕事にする方にとって、最も重要となるのが「刺繍データ作成」の工程です。上記以外にも沢山の効率化ツールがありますが、せっかくWilcom ESを導入したからには早いうちに業務用ソフト流のパンチングをご習得いただき、タイムパフォーマンスを爆上げしていただけたらと思います。
刺繍データ作成の「デザイン性」に関わる違い

続いては「デザイン性」に関わるツールの違いです。
例えば、最近人気の動物刺繍をしたい方には一律でベーシック以上をおすすめしているのですが、そこには標準機能の有無によって製法が限られてしまうという理由があります。
私もこれまでいろんなアプローチで動物刺繍を作ってきました。デコレイティングでも作れないことはないのですが、ちょっと作成難易度が上がってしまうイメージですね。初心者向け~玄人向けまで様々な製法がありまして、簡単な作り方になるほど機能の有無によってできることが限られてきます。
分かりやすい例を挙げるとすれば「放射状埋め縫い」「ぼかしステッチ」「カーブ効果」「グラデーション機能」など…。ちょっとデザイン的な刺繍をしたい時に欲しい機能がベーシック以上からの搭載なのでご注意ください。
デザイン性アップのための各種機能
その他、デザイン性に関わる標準機能の有無がこちら。
一般的なロゴやネーム刺繍など、THE刺繍屋さん的なお仕事ではあまりデザイン性は求められないので、正直こういった機能を使う機会はグンと減ります。刺繍データ作成のお仕事をしていても、圧倒的にそういったご依頼が多いですね。普通のランニング・サテン・タタミが使えて、お仕事レベルの細かいステッチ編集ができれば対応できますので、そういった方はデコレイティングで十分でしょう。
逆に、Wilcom ESにデザイン性向上を期待していらっしゃる方にとっては、デコレイティングでは正直物足りなく感じる部分が出てきます。刺繍のデザイン性で差別化をしたい方はベーシックがおすすめですね。
今回は一部機能のみ抜粋させていただきましたが、より具体的なアドバイスは個別に対応させていただきますのでお気軽にお声がけくださいませ!
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