刺繍データ作成の習得にはどれくらいの期間がかかるの?

ミシン刺繍 助六

山本凌哉

こんにちは!糸の帆(itonoho)の山本です。

先日、SNSにて三井淳平氏の「考えてからでは遅すぎる」を読みました。

すごくバズっておりましたので、目にされた方も多いのではないでしょうか?

私にとっても非常に共感できる内容でしたので、弊社に寄せられる質問とも絡めて少しお話したいと思います。

ミシン刺繍の業務に携わる方、これから参入される方など「一人前になるために必要な習得期間」を知りたい方はご参考ください。

刺繍データ作成の習得にはどれくらいの期間が必要?

刺繍データ作成風景

横振り刺繍に代表されるように、かつてミシン刺繍と言えば完全な専門職でした。一人前になるまでには10年以上の訓練が必要とされ、加えてセンスが問われる業種であったと言えます。

やがて刺繍機がソフトで動く時代となり、まとまった投資は必要になったものの、比較的参入しやすい形態となりました。実際弊社お客様にも、趣味の延長として副業・起業される方が増えています。

オリジナルのミシン刺繍には、ザックリと下記のスキルが必要です。

ミシン刺繍習得の3要素
  1. 刺繍機(刺繍ミシン)を扱うスキル
  2. 糸、針や下紙など補助材の知識
  3. 刺繍データ作成のスキル

刺繍機については、機器が苦手な人でなければすんなり入れることでしょう。枠のはめ方や糸調子など細部でのノウハウは必要ですが、縫製の様に自分で手足を動かすわけではないので入門ハードルとしては低いかと思います。

下紙などの補助材についても奥が深いのですが、最初はメーカー・販売店さんでおすすめされるものから試し、徐々に自分に適したものを探していく形で問題ないでしょう。

さて本題のデータ作りについてですが、こちらもPCソフト関連の扱いになれた方でしたら、数日あればある程度のデータ作りが可能かと思います。今のソフトは初心者さんでも分かりやすいような設計になっていますので、形にするまではさほど時間を要しません。オートパンチでしたら1週間、マニュアルパンチでも1か月ほど触れば基本的な機能は使えるようになることでしょう。

ただし「ある程度」というのが前提です。

これはあなたが目指す刺繍が「ある程度」レベルで良いのか、それとも極める必要があるのかという基準で判断いただけたらと思います。個人で楽しむ範囲なのか、あるいは販売を目的とするものなのか、またブランド化や差別化など…。どこを及第点とするのかは人それぞれです。

冒頭記事の紹介に戻りますが、三井氏はよく言われる「1万時間の法則」を「考えることなくできるようになるまでに1万時間かかる」と解釈しています。さらには『考えることなくできるようになってから、ようやくクリエイティブな勝負ができるようになる』と仰っています。

私はこれまであまり時間を意識したことはありませんでしたが、振り返れば1万時間を超えたあたりから刺繍データ作りの面白さが倍増してきた気がします。「こんなタッチの表現がしたい」というイメージに対して、考えずに手が勝手に動く感覚。クリエイターを名乗っても良いかなと思えるほどの自信が付き始めてきたのもちょうどその頃でした。

刺繍ソフトは独学でもマスターできるの?

刺繍データ作成風景

とはいえ実際のお声としては、少しでも早く・最短ルートで習得したいという方が多いのも事実です。それなりの投資をするわけですから、そこに不安を抱えることは当然のことだと思います。

ちなみに刺繍データ作成は、独学で始める方がほとんどです。何度もトライ&エラーを繰り返しながら経験値を高めていくことがスキルアップにつながりますので、ただ聞くだけでなく自身で試しながら学ぶ姿勢は何にでも必要なことだと思います。

しかしその背景としては、業者間での交流が少ない業界でもありますし、販売店でも詳しいスタッフがいないというのが実態で、聞ける人がいないというのも正直なところかも知れません。

私もほぼ毎日のように講習や質問にお答えしていますが、対象は全くの初心者さんから20年来のベテランさんまで多岐に渡ります。

そこで気になるのは、経験年数が豊富な方でも「知らない=出来ない」になってしまっている方が沢山いらっしゃるということ。長年やっていても「思い込み」や「理解不足」で損をしているケースも多いのです。先にも記したように、良くも悪くもある程度形になってしまうため、そこで止まっている方が多いイメージですね。

ツールや機能の存在自体を知らなかったり、他人のデータ作りもほとんど見たことがないので、その中でいくら経験を積んでいっても成長は遅く偏ってきます。非常にもったいないです。

クリエイティブな勝負をするためには、まずは使える機能や知識を一通り学ぶステップが必要不可欠。その上で記事で言われているサイクルを回していくことが重要だということです。

「刺繍ソフトは独学でもマスターできるの?」については、完全に個人差があるので正解はないでしょう。ただ私自身の経験を踏まえると、専門家からの講習を受け、更には多くの優れた作品に触れながら試行錯誤するのが上達の近道なのは間違いないですね。

習得への近道(例)
  • 関連会社に勤める、弟子入りするなど
  • プロの講習を受ける、継続的に相談できる人を見つける
  • プロが作ったデータを研究する

刺繍データ作成の特異性

刺繍データ パーカー

そもそも刺繍データ作成を独学で習得するのが難しいと言われるのは、その特異性が大きく影響しています。よくあるデザインソフトと比べてかなり特殊です。

例えばIllustratorで制作したデータは、モニター上で映されたものがそのまま完成品となります。作り方の過程による差はあったとしても、「目に見える最終形」は同じです。

対して刺繍データの場合は、その先の機器で作った刺繍が最終形となります。つまりデータを作成するノウハウの中には、刺繍機で刺繍するまでの過程を考慮した全体スキルが含まれるのです。

刺繍機はソフトで作られたデータをもとに忠実に座標を動かすのですが、そこには生地/針/糸といった不確定要素が多分に含まれています。分かりやすい例えでは縫い縮みなどが挙げられるでしょう。

縮み防止のテクニックのひとつに「下縫い」があります。下縫いは表面上には現れませんが、品質面では重要なファクターです。特にニットなど伸びる素材では、その特性を見ながら臨機応変に作り方を変える必要があります。

このように表に見えないところに気を配り、アイテムごとにデータを変えなければいけないのが刺繍データ作りの特徴ともいえるでしょう。これら品質を上げるためのテクニックは随所に見られ、一般的なソフトの操作方法とは別に習得すべき知識となります。

またこうした不確定要素への対応は知識だけでは不十分で、基礎知識を元に自身で経験を積んでこそ本当の意味での習得になります。1回の講習で身に着くようなものではないので、とにかく自分でデータを作って実際に刺繍してみることが大切です。

基礎をしっかり覚えた上で繰り返し経験を積む。このサイクルを回していった先にクリエイティブがあります。

刺繍データ作りに必要なスキル
  • 刺繍ソフト操作そのものに関する知識
  • 品質を高めるためのテクニックと経験
  • ステッチのアイデア、独自性など

やりたい内容に応じて、習得までのサイクルをサポートします

実際の習得期間は各々の熱量次第にもなりますが、最短ルートで習得したい方はまずやるべきことを整理するところから始めてみてください。特にこれから始める方は右も左も分からないと思いますので、ご相談いただければそれぞれの活動スタイルに応じた習得までのロードマップをご提案させていただくことも可能です。

弊社では、まず納品時の初回インストラクションにてパンチングの基礎を習得してもらっていますが、実際の中身はお客様のやりたい刺繍によって変えています。少しでも効率よく各々の目標にたどり着くため、そのとっかかりを掴んでいただく時間にすることが目的です。

また導入後についても公式LINEにて都度サポートできる体制を整えておりますので、実践的に刺繍をしていただきながら上手くサイクルを回していただけたらと思います。弊社お客様には会員サイトでの情報発信や、無料データ検品サービスなども実施しておりそちらも好評です。

非会員様は有料講習のみの対応となりますが、自分の理解度が確認できるきっかけにもなりますのでぜひお気軽にご相談くださいませ。

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