こんにちは!糸の帆(itonoho)のやまもとです。
ここでは刺繍ミシンの「下糸」に関する知識をまとめました。
縫製ミシンは上糸と下糸を絡ませることで縫い合わさりますが、これは刺繍ミシンも同じです。
ただ刺繍ミシンの場合はちょっと使い方が違います。
刺繍ミシン「下糸」の基本
普通の縫製の場合、下糸は小さなボビンに巻き替えて使用します。
下糸が目立たないように上糸と同じ糸を使用したり、裏地の色に下糸の色を合わせるなど、複数の糸を使い分けなければなりません。
その際、いちいちボビンに巻きなおすのは面倒ですし糸の無駄も出てしまうため、必要な色の数だけボビンを用意し、ストッカーで一緒に管理しているユーザーも多いんじゃないでしょうか。
刺繍の場合も下糸は小さなボビンに巻いて使用します。
ただし、色は「白」や「黒」など単色で行うことが多く、下糸は最低1種類あればOK。素材や太さを変えたとしても数は知れています。
ちなみに単色しか使わない理由は、通常の縫製と糸調子の合わせ方が異なる点にあります。
通常の縫製は生地断面中央でバランスよく糸調子を合わせるのに対し、刺繍は下糸を極力表へ出さないように糸調子を合わせるのが基本。つまり表面に下糸が出てくることはないので、基本的に上糸や生地に合わせて糸の色を変える必要がないんです。
下糸のボビンをいちいち交換しなくて済むのはありがたいですね。
刺繍ミシンの下糸の選び方
ここからは刺繍ミシンの下糸の選び方について。
使っているミシンによって異なるのでぜひ知っておきたいですね。
家庭用刺繍ミシンは専用の下糸がおすすめ
家庭用刺繍ミシンの場合は基本的に専用の糸を使いましょう。
例えばブラザーでは刺繍ミシン用として、純正の白糸や黒糸が用意されています。
他の記事でも何度か紹介していますが、家庭用ミシンは水平釜の採用により下糸の糸調子が合わせられません。(上糸のみでの自動調整が基本)
さらに家庭用の刺繍ミシンは通常の縫製も出来るように設計されていて、張力の強い専用の下糸を使うことによって刺繍時の糸調子を調整する仕組みになっています。
ですから普通の糸を使うと急に糸調子が合わなくなるケースが多いです。
私も以前はいろいろな下糸を試しましたが、やはり純正糸を使うのがおすすめですね。
どうしても普通の糸を使いたいという方は、内釜をもう一つ用意して強制的に糸調子を変える手もありますが、そこまでする必要があるかどうか…。
一応、内釜の換え方は弊社の別ブログにて紹介しています。
工業用刺繍機の下糸はどんな糸でもOK
一方、工業用の刺繍機は垂直釜を採用しているので、上糸だけでなく下糸のテンションも調整できます。つまりどんな糸を使ってもOK。
刺繍の下糸によく使われるのは「スパン(ポリエステル100%)」や「カタン(綿100%)」などです。見た目からは区別がつきづらいですが、カタンは手で強く引っ張ると切れるので簡単に分かります。
ちなみに通常の刺繍ではスパンを使うことが多いですが、例えばワッペンの周囲などをヒートカットする際は、万一に備えて熱でとけないカタンを使用するのが安心。
その他状況に応じて使い分けてます。
また、工業用になると20,000m巻なんてものもありますからけっこう長持ちします。
購入する際は下糸として販売しているところもありますが、普通の縫い糸用で問題ありません。
糸調子合わせは勘と経験になりますが、数値で管理したい方には下記をおすすめします。
非常に優秀な使い捨ての下糸
最後に、下糸を巻くのが面倒という方には使い捨てボビンもあります。
一般的に使われるボビンは下記のようなイメージ。
プラスチックや金属性のボビンは巻き替えながら使い続けるもの。巻き機は多くはミシンに付属機能としてありますが、工業用になると別の専用機で巻くことがほとんどです。
ちなみに、下糸の巻き方はけっこう重要で、均等に巻かないと不具合が生じます。糸切れが多い方は、テンションが一定な使い捨ての紙ボビンもおすすめ。
もったいないからと言って片寄ったボビンをそのまま使用するのはNG。途中でエラーになってもっと後悔する羽目になります。
こちらが紙製の使い捨てボビンになります。
綺麗に巻かれていて、これに変えただけでも一気に安定して縫えるようになるんです。
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