Illustratorは刺繍データ作りに必要なの?

Illustrator 刺繍ソフト

山本凌哉

こんにちは!糸の帆(itonoho)のやまもとです。

今回は刺繍ソフトとIllustratorの関係性についてのお話。

刺繍ソフトの購入を検討するにあたって「Illustratorも一緒に買った方が良いのでしょうか?」という質問がございますので、簡単に刺繍ソフトにおけるIllustratorの役割をご紹介させていただけたらと思います。

はじめに結論になりますが、刺繍ソフトにおいてIllustratorは必ずしも必要なものではありません。今後Illustrator主体でデザイン制作をしていきたい人はともかく、わざわざ刺繍のためだけにご用意いただく必要はないという意味です。実際私自身も刺繍データ作成においてはほとんど使っておりません。

Wilcom ESの場合CorelDRAWというベクトル画像編集ソフトもバンドルされておりますし、現状Illustratorの知識がない方にとっては持て余してしまう可能性が高いですね…。

Illustratorが刺繍データ作りに必要といわれる理由

Illustrator

そもそもなぜIllustratorが刺繍データ作りに必要といわれるのか。一番の理由はオートパンチの補助として使う方が多いからです。

最近の刺繍ソフトにはオートパンチの機能が付いております。画像を元にボタン一つで自動で刺繍データに変換してくれる機能です。その精度はソフトによって異なりますが、実際この機能だけでお仕事として刺繍をされている方もいらっしゃいます。

とはいえあくまで自動変換。使用する画像によって得られる結果も大きく変わってくるのが現状…。そこを上手くサポートしてくれるのがIllustratorの役割というわけです。

ベクターファイルのパスを読み込み、自動でステッチに変換

Illustratorの魅力はベクターデータが作れるところにあります。「jpg」や「png」のようなビットマップ画像と違い、ベクター画像はパス情報を持っており拡縮も自在自在。

一方、Wilcom ESではaiファイルのパスをそのまま認識することができます。Illustratorで作成したパスを読み込み、オートパンチで簡単にステッチ変換することが可能なんです。もともとWilcom自体がアウトラインを元にステッチを計算・生成する仕組みになっているので当然相性は良いですよね。

実際はWilcom ESの場合ビットマップ画像をオートトレース、オートパンチすることも可能なのですが、やはりIllustratorによって手動で整理されたパスの方がより想定に近い状態での変換が可能です。どうしてもスムーズに変換ができない画像は、一度Illustrator側で調整してから読み込んであげることで綺麗に変換される場合がありますね。

Wilcom ESにおいてIllustratorが不要な理由

このようにIllustratorを持っていることによるメリットもあるのですが、正直オートパンチの調整のためだけに持っておく必要はございません。理由をいくつか挙げてみます。

CorelDRAWの存在

CorelDRAW

1つ目はCorelDRAWの存在。ちなみに今は「CorelDRAW2020」がバンドルされておりますが、これはIllustrator同様のベクトル画像編集ソフトとなります。日本ではadobeが浸透しているのでIllustratorがあまりにも有名ですが、実は海外だとCorelDRAWが主流のところもあるんですよ。

私もそうでしたが、もともとデザインに関するお仕事をしている方は刺繍ソフトを買う前からIllustratorを持っているケースが多いです。そういう方に関しては慣れているIllustratorをそのまま使うことが多いですが、現状Illustratorの知識が全くない方ならCorelDRAWを勉強して使っていくのもありでしょう。

さらにadobeはCS6を最後にクラウド型になっておりますので、これから始める方はそこもネックになってきます。その点CorelDRAWはそういった不安がありませんからね。Wilcom ES(デコレイティング以上)を買えばセットでついてくるのでこれを利用しない手はないでしょう。

刺繍ソフトを勉強するほどIllustratoが不要になる

2つ目は刺繍ソフトを勉強すればするほどにIllustratorを使うことが減ってくるという点。実際使っている方を見ていても、「その使い方をするなら刺繍ソフトで直接やった方が早くて綺麗なのに…」という状況に遭遇します。

例えばIllustratorをトレース目的で使用するケース。すでに作成されたビットマップ画像があって、Illustratorで一度トレースしてから刺繍ソフトでオートパンチするという想定です。

ただこれだと刺繍ソフト側でマニュアルパンチするのとほとんど手間は変わりません。どちらに慣れているかだけの問題。仮に手作業ではなくオートトレースして読み込むのだとしても、Wilcom側で同様の機能があるのでそちらで対応できます。いずれにせよ現状オートパンチの精度を上げるためには手作業でパスを管理してあげることが1つの条件になりますので、すでに下絵があるなら刺繍ソフト側で直接マニュアルパンチした方が同じ手間でもっと綺麗なデータが作れるでしょう。

こんな感じで、オートパンチで楽しようとすることが逆に遠回りになってしまうことがよくあるんです。微調整も簡単にできれば良いのですが、そもそもIllustratorに慣れてない方だとけっこう時間がかかりますし…。

Illustratorも使いこなすためにはそれなりの勉強が必要です。それなら最初からマニュアルパンチを勉強していただく方がおすすめですね。

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