こんにちは!糸の帆(itonoho)のやまもとです。
ここではミシン刺繍における「接着芯」の役割とその選び方をまとめました。
業界では「下紙」や「安定紙」「スタビライザー」「バッキング」などとも呼ばれることがありますが、綺麗な刺繍をするためには欠かせないものです。
よく使われている商品もピックアップしておいたので参考にどうぞ。
接着芯の役割とは?
接着芯には、生地の裏側に貼ることでその生地に張りを持たせる役割があります。よほど張りの強い生地でない限り、基本的には接着芯を貼ってから刺繍するものだと思っておきましょう。
また、単に張りを持たせてステッチしやすくするだけでなく、縫い縮みを軽減したり、糸締まり(糸調子)のバランスをとるなど奥深さもあります。
いずれにせよ、ミシン刺繍にとっては欠かせない存在です。
様々な生地を刺繍に最適な母材に
ちなみに私が刺繍を始めた時「生地に刺繍するのではなく下紙に刺繍する意識で…」というアドバイスを受けたことがあります。「生地」と「接着芯」の2つを合わせて1つのベストな母材を作るというイメージが重要というです。
生地には「織物」と「編物」がありますが、その特徴(密度、張り、硬さ、伸縮性など…)は千差万別。ですから接着芯も生地に合わせて使い分けるのが理想となります。
今私の手元には接着芯の本がありますが、服飾業界では接着芯だけで1冊の本が書けるほど奥の深い世界です。大きな企業には接着芯選びのソムリエ的な人もいらっしゃるくらい。
刺繍に関してはそこまで深くないかもしれませんが、いろいろ試してみると面白いですよ。
刺繍に使われる接着芯まとめ
それでは実際に刺繍で使われる接着芯をご紹介。
家庭用で使われているものから、工場で採用されているものまであるので、いろいろ試してみてください。大まかに下記の4つをピックアップしてみました。
1、ブラザー純正刺繍接着芯
まずはブラザー純正の刺繍用接着芯。
現在は下記の3パターンが販売されています。
家庭用の刺繍ミシンをお持ちの方は、最初にこちらを購入される方が多いです。
接着芯はやや薄手で、手で破ける不織布タイプ。様々な生地に対応可能で、場合によっては2重に重ねて使うのもありでしょう。
水溶性シートはタオルへの刺繍などに役立ちます。タオルのループが邪魔になりません。
ちなみに、最初に純正品を使っておくと推奨基準が分かるのでおすすめです。
まずはメーカの推奨仕上がりの状態をしっかり確認したうえで、それからコストダウンを図っていくのが良いでしょう。
2、ハイボン
不織布大手のシンワ株式会社が提供する刺繍用不織布「ハイボンシリーズ」は、ハードからソフトなもの、薄手から厚手なものまで豊富なラインナップが魅力。
色は白と黒があり、アイロン接着の糊付き、糊なしも選べます。
さらに同じ糊付きでも剥がしやすさの違いもあるのでよく比較してみると良いですよ。
ちなみに上記画像は「ハイボン 150P(白・のり付き)」。一般的な厚さで汎用性の高い接着芯です。
素材は「レーヨン」なので手で破ることができます。
ジャージなどのネーム刺繍の裏側を見ると、白いカスが残っていることがありますが、これがその残骸ですね。
刺繍の下に入り込んだ所はそのまま残り、洗濯しても溶けることなく残ります。
3、ヒートハイボン
同じくハイボンシリーズですが、「ヒートハイボン」はレーヨンではなくポリエステル製。
簡単に破れないのが特徴で、ヒートカットを伴うワッペン制作などに適した接着芯です。
上記画像は「ヒートハイボン 2870P(白・のり付き)」。少し薄手の「2840P」とともに良く利用される厚みとなっています。
ワッペンの場合はもともと刺繍しやすい生地を選んでいると思うので、完成品の好みにより厚さを選んでもらって構いません。
ちなみにワッペン制作時には、接着工程を刺繍した後に行うこともあります。細番手の糸などは、糊が硬化する前の方が品質が良くなることがあるからです。
この辺りはテクニックの話になってくるのでケースバイケースで実践してみてください。
4、直刺繍用基布
最後に、ワッペンの中でも厚みを持たせたくないときには「直刺繍用基布」を使ってみてください。
こちらは生地を使わず芯自体に刺繍するタイプです。
タタミ縫いなどで全ての面を刺繍する必要がありますが、糸厚のみでできるのでアイデア次第では面白いものが出来上がりますね。
ハイボンやマツボンなど業務用接着芯は下記で購入できます。
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