こんにちは!糸の帆(itonoho)のやまもとです。
ここでは「オートパンチ」と「マニュアルパンチ」の違いを解説します。
どちらの手法で刺繍データを作るかは人それぞれ。目的やスタイルによっても変わってくるでしょう。両者の特性を理解しつつ、状況に応じて使い分けられる様になると良いですね。
マニュアルパンチを学びたいという方は、講習もやっておりますのでお気軽にお申し付けください。お客様のレベルに合わせて1から丁寧にご説明させていただきます。
オートパンチとマニュアルパンチの違い
現代の刺繍データ作りの手法は、広義でいえば2パターンあります。それが「オートパンチ」と「マニュアルパンチ」です。
簡単にいうと文字通り「自動」か「手動」かの違いですね。
オートパンチの特徴
オートパンチはイラストや写真を自動で刺繍データに変換する手法です。
画像さえあれば、あとはボタン一つでソフトが自動でステッチに変換してくれます。例えば上記のような作品も全てオートパンチによって作成したものです。(Wilcom ES使用)
趣味で刺繍を楽しみたい方など、ライトユーザーさんにとっては最高の機能ですよね。仕上がりに関しては使用するソフトによっても変わってきますので事前にご確認ください。Wilcom ESではあとから細かい微調整もできるので、使いこなせば大きな武器になるでしょう。
実際、オートパンチ主体で作品販売までされている個人作家さんや刺繍屋さんもいらっしゃいます。
ただしあくまで自動変換なので、デザインによっては綺麗に変換されないケースも出てくるのが難点。色数が多かったり、細かく複雑な表現になるほど精度は徐々に落ちていきます。
少しでも綺麗に読み込むためには、事前に読み込みやすいデータにしておくこともポイントです。別途「Illustrator」「Photoshop」「CorelDRAW」といったデザインソフトを使用し、少しでも読み込みやすく、かつ編集しやすいデータに調整してあげると良いでしょう。
Wilcom ESではオートパンチのタイミングで色数を調整したり、デザインを簡略化することで綺麗に変換することもできますので、その辺りの機能も上手くご活用ください。
マニュアルパンチの特徴
一方マニュアルパンチは手動でデータを作る手法です。
下絵を元に、いくつかのパーツごとに分けてステッチを生成していきます。場合によっては1針1針打つこともできるため、オートパンチと比べ刺繍データ作りの自由度がグッと広がります。
ちなみにプロのパンチャーさんは基本こちらの作り方。オートパンチの精度もかなり高くなっていますが、プロの現場だとそれだけではまだ補いきれないのが現状ですね…。
逆に言えば、一度マニュアルパンチを覚えてしまえば、今後長く使える武器になります。自身の作品販売のみならず、刺繍データ作成のお仕事を受けるまで活動の幅が広がってくるでしょう。データ作成を外注されている企業・ブランドさんは意外と多いです。
もちろんマニュアルパンチにはそれなりの時間を要しますし、知識がないとかえって汚いデータとなる可能性もあります。例えば糸切回数を減らすための手順など、基本的なパンチングスキルが必要。この辺りの知識は独学ではなかなか厳しいので、一度プロから教わるのが手っ取り早いでしょう。
マニュアルパンチも基本自体はそれほど難しくありませんので、これからミシン刺繍を始めるという方にもぜひ習得していただきたいです。私自身がそうでしたが、早い段階で基本だけでも習っておけば、その後の学習スピードが格段に速くなります。弊社でも刺繍ソフト講習を承っておりますますのでお気軽にお声がけ下さい。
オートパンチとマニュアルパンチの使い分けについて
たまに「オートパンチ・マニュアルパンチどっちが良いの?」なんていう難しい質問を受ける時がありますが、正直これはケースバイケースです。初心者はオートパンチ、プロはマニュアルパンチというイメージをお持ちかもしれませんが、実はそう単純な話でもありません。
ズバリ現代の刺繍ソフトにおいては、どちらかに一方のやり方に偏る必要はありません。両者の特徴を活かしながら刺繍データを作成するのがベストでしょう。
どちちらもデザインによって向き不向きがある
そもそも一概にどちらが良いとは言えないのです。
オートパンチでは作るのが難しいデザイン。またはその逆で、マニュアルパンチではかなりの時間がかかるけどオートパンチなら一瞬で綺麗に作れるデザインというのも沢山あります。
すでに刺繍ソフトをお持ちの方は、実際に手を動かして試してみるのも良いですし、可能であれば身近なパンチャーさんに相談してみることをおすすめします。糸の帆までご相談いただければ、あなたに合った最適な作成方法をご案内させていただきます。
自分が目指すポジション(趣味 or 販売)でもおすすめの成方法は大きく変わってきますので、その辺りも含めて一度整理してみると良いかもしれませんね。ぜひ自分に合ったスタイルを確立していただけたらと思います。
両者をシームレスに使い分ける「セミオート」なパンチング
さらにいうと、使用するソフトによっても、刺繍データ作成の流れが随分と変わってきますのでご注意ください。基本的な考えはどんなソフトでも変わりませんが、それを行うための操作や手順に違いがあります。
例えば高性能な刺繍ソフトは、オートパンチとマニュアルパンチがシームレスに使用できる設計になっています。つまりどちらか一方に偏ることなく、状況に応じて簡単に使い分けることができるのです。「オートパンチでざっくり作成してから、気になる箇所をマニュアル操作で微調整する」みたいなこともできます。
オートパンチはあくまで自動でアウトラインを作成する機能に過ぎません。そう考えるとプロの現場でも意外と使えるシーンは多いのです。プロはデザインに応じて、上手くオートパンチの機能を活かしながら時短を図ります。オートパンチとマニュアルパンチそれぞれの得意不得意を理解しておくことが重要です。
これから先もどんどんソフトの進化は続くでしょう。この先はぜひ「セミオート」なパンチングも意識してみてると、今後の業界の進化にも対応出来てくると思います。
コメント