こんにちは!糸の帆(itonoho)のやまもとです。
今回はケミカルレース(自立型レース)の作り方をご紹介。
もともと作成過程で科学処理が必要だったことから”ケミカル”という名前がついていますが、今では水溶性シートを使うことで家庭でも簡単に作れるようになりました。
用途としてはウェディングドレスのあしらい等、もともとブライダル業界向けに作られたものみたいですね。レースを付けると高級感も増しますし、オリジナルという事になると更にテンションも上がりそうです。ぜひ作品のワンポイントとして活用してみてください。
ケミカルレースの作り方
ケミカルレースの作り方はこんな感じ。
仕上がりだけ見ると難しそうなイメージを持たれがちですが、基本さえ覚えれば比較的簡単に作ることができます。重要なのはデータ作りですね。
順番に流れを紹介するのでご覧ください。
1、刺繍データ作り
まずは刺繍データ作りから。ケミカルレースは水溶性シートが溶けた後に糸だけが残る状態となるので、それを想定した上でデータ作りをしなければなりません。
まず、基本となるのは「一筆描き」であること。刺繍は普段でも糸切りを少なくするのが鉄則ですが、自立型レースの場合は特にほつれにくくする必要があります。
ランニングでつなぎながらコラム(サテン)を使ってデジタイズ。 オブジェクト同士に適度なオーバーラップを持たせながら、その境目にしっかりと土台となるランニングを敷いてあげることが重要です。
言葉でいうのは簡単ですが、実際作ってみるとパズルのように頭の回転が必要となりますね。根気のいる作業です。
ちなみに全て自分で設計できれば良いのですが、出来ない場合はソフトに頼るのもありです。
Wilcom ESには「ブランチング」という機能があります。これは個別に作成したオブジェクトを自動的に順序変更し、最適な状態で一体化する機能です。少々デザインが崩れる可能性もありますが、作成後にブランチング処理をしてあげることで、一度全体に下縫いを入れてから上縫いすることができるようになります。
少々強引な手法ではありますがかなり丈夫なレースができます。ケミカルレース作りにも有効なので参考にしてみてください。
2、水溶性シートに刺繍
データが完成したら水溶性シートに刺繍しましょう。
刺繡で使用する水溶性シートは主に2タイプあります。
例えばタオル地などに刺繍する時には、1を使っている方が多いと思います。
ケミカルレースを製作する際は、不織布で細かなメッシュとなったものが使いやすいです。厚さもいろいろありますが、場合によっては安定させるために重ねて使用することも可能です。
ちなみに今回使用したのはミシン館さんのSSN60型。ある程度しっかりしたものでないときれいに刺繍できないので気を付けましょう。
3、ぬるま湯でシートを溶かす
刺繍が終わったらぬるま湯で水溶性シートを溶かします。
あえて硬さを残したい場合にはさっと洗い流すだけで十分。濡れた状態のまま当て布をしてアイロンで押さえれば、デンプン質の様に張りを保つことが出来ます。
柔らかく仕上げたい場合は何度かお湯を変えながら安定剤が残らないように丁寧に洗い流しましょう。ぬるま湯にコンディショナーを加えて洗うと更に柔らかみが増します。
4、乾かして完成
乾かしたら完成。
段染め糸を使ったものも、いい味が出ていますね。
ケミカルレースを作るときの刺繍ミシンの注意点
最後に刺繍ミシンを動かす際のコツを少々。
ミシンは工業用でも家庭用でも構いませんが、スピードはいつもより抑えめがおすすめです。300rpm近くまで落とすと安心ですね。
また、針は先端が摩耗していない新品の状態をお勧めします。ケミカルレースは繊細なので、なるべく糸に負担をかけないようにするためです。
上糸も目的に応じて使い分けると良いですね。衣類用など柔らかいレースでしたらレーヨンが最適。硬くても良ければポリエステルでも大丈夫です。
あと完成状態で両面を見せたい場合には、下糸も上糸と同じ糸を使用すると良いかと思います。
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