デジタル刺繍絵画の魅力!始め方と必要な環境まとめ

山本凌哉

こんにちは!糸の帆(itonoho)のやまもとです。

これまでSNSやブログなどを通じいろんな刺繍作品をご紹介してきましたが、その中でも「刺繍絵画」は私のお気に入りカテゴリーのひとつです。

大きな作品になるとそれなりの時間や労力もかかりますが、イメージ通りにできた時の喜びはひとしお。時として想像を超えるような作品が生れることもあり、そうした発見は次の作品作りのアイデアとなり、ゾーンに入る瞬間でもあります。

今回はそんなデジタル刺繍絵画の魅力と始め方をご紹介します。

デジタル刺繍絵画の魅力

デジタル刺繍アート

私が感じる刺繍絵画の魅力は「作品の深みと温かさ」にあります。

糸はもともと光の反射により、見る角度によって色合いが変わってくるものですが、さらにそれをグラデーションの様に層を重ることにより「光の奥行」が生まれます。加えてステッチに細工をしてあげることで、質感など自分の想いを表現することも可能です。

油絵ファンの方でしたら「グレーズ」や「マチエール」といった用語が出てくるかと思いますが、表現や技法、効果については共通する部分も多いのではないでしょうか。

ただ画像を糸に置き換えるのではなく、あえて糸を使ったことの意味を感じてもらえるように様々な工夫を施しています。例えば一例を挙げると、この手の刺繍にありがちな”機械刺繍感”を消してあげないと「それ糸でやる必要ある…?」みたいな作品になりがちです。この辺は動物刺繍で毛並みを表現するときにも共通しますね。

多くの方に現物は数倍良いと言っていただけますが、ぜひ間近で見ていただきたい刺繍作品の一つです。

デジタル刺繍絵画の始め方

手刺しゅうでも絵画は出来ますが、私が行っているのは完全なデジタル刺繍です。具体的にはPCソフトを使ってデータを作り、刺繍機を使って刺繍します。時には画像編集ソフトや生成AIなども駆使します。

それがアートかという反論もあるかも知れませんが、「私なりの表現」ですので、そこの解釈や定義の議論はあまり気にしていません。自身が描いたイメージが形となり、その作品が誰かの心に響けば純粋に嬉しいです。

簡単に必要環境をまとめさせていただきますので、参考にしていただけたらと思います。

  1. 刺繍ソフトについて
  2. 刺繍機について
  3. 資材について

1、刺繍ソフトについて

Wilcom ES デジタル刺繍アート

弊社で使用している刺繍ソフトは「Wilcom ES」です。

色数は最大99色、変換後はランニングステッチになります。画像編集機能付き64ビットの高機能ソフトということで、諸々の編集作業も含め一つのソフト内で完結できるのが魅力ですね。作品を作るにあたってストレスのなさというのも、楽しく作品制作を続けられている理由の一つになっています。

ご参考までに写真を使った例も載せておきます。

フォトステッチ
(左)写真/(右)ステッチ

iPhoneで撮影した私の地元「高山まつり」の写真です。これについては編集作業なしでそのまま変換し、その後のステッチ調整も一切行っておりません。

あくまでオートパンチ機能の1種なので、素材によって難易度が変わるのは言うまでもありませんが、各種機能を駆使しつつ素材に合わせた調整をしてあげることでさらに精度は高まります。

ちなみに弊社ではWilcom ESの糸チャートもカスタマイズしておりますので、色選びもほぼPC画面のイメージ通りに選定可能になっています。正直これがないと色選びにかなりの時間がかかりますので、こういった刺繍をやりたいお客様がいらっしゃいましたら個別にカスタマイズさせていただきますね。

2、刺繍機について

  • できるだけ針数の多い機種
  • 刺繍範囲の大きな機種
  • ある程度馬力のある機種
  • ステッチ長、糸切り、縫い始めなどでの減速が少ない機種

刺繍機については特にメーカー指定はありませんが、上記考慮して選ぶことをおすすめします。

例えば弊社取り扱い機種でおすすめなのは「HCU2-1501(15針)」です。

刺繍機 HCU2

こちら刺繍面積400×600mmなのですが、標準仕様の一頭機としては最大クラスになります。(必要性はさておきオプションにて最大400×1,200mmまで広げることも可能)

布押さえの動きやジャンプの制御にもすぐれておりますので、刺繍絵画のように原反枠を使った大きな作品も安定して作成できるのが魅力ですね。

ちなみに初期費用を抑えたかったり、そこまで大きな刺繍をしなければ「HCS3-1201(12針)」もおすすめです。

刺繍機の販売・サポート

こちら285×290mmサイズになりますが、職業用クラスでここまで奥行のある機種は他にありません。正方形で十分なサイズが確保できますので、これでしたら刺繍絵画としてもある程度のサイズ感で作成可能です。ACモーターの採用により馬力も申し分ないので、ステッチによる厚みが出てきても問題なく刺繍してくれます。

また、今回のように極端にステッチ数や糸切りの多い刺繍作品では、使用する刺繍機によって縫い上がりにかかる時間が大きく変わってきます。ただでさえ時間がかかりますので、機種を選ぶ際はその辺も気を付けておきたいところですね。HappyJapanの刺繍機でしたら、工業用・職業用共に申し分ありません。

資材について

刺繍糸 有効ボード

弊社では「パールヨットのレーヨン糸」をメインに使用しています。755と色数も多いですし、パールのように光沢も美しく、日光などによる変色も少ないです。

刺繍ソフト側と連携させているので、刺繍データ完成後はワークシートに記載された棚番を見ながら取り出すだけでOK。いきなり全色揃えるのが難しい方も、見本帳と連動しておりますので都度見ながら買い足していただけたらと思います。

刺繍絵画にご興味のある方、更に詳細を知りたい方はお気軽にお問い合わせ下さいませ!

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