こんにちは!糸の帆(itonoho)のやまもとです。
今回は3Dフォーム(ウレタン)を使った3D刺繍をご紹介。
3D刺繍はお手軽に高級感を演出できるので、使い方によっては刺繍の価値を高めることにもつながります。ぜひお試しください!
3D刺繍とは?
ミシン刺繍における3D刺繍は主に2種類あります。
1、3Dフォーム(ウレタン)を使用した3D刺繍
1つ目は3Dフォーム(ウレタン)を使用した3D刺繍です。
母材となる生地の上にウレタンを置きその上から刺繍を行います。最後に余分なウレタンをちぎり取ることで、刺繍の中にのみウレタンが残り立体的になるという仕組み。
実際はこちらの意味で使われることがほとんどですね。
作業としてはすごく単純ですが、刺繍データ作りにはちょっとしたコツが必要です。綺麗に仕上げるためには、通常の平縫いとは違う3D刺繍用のデータ作りを覚える必要があります。
とはいってもポイントさえ押さえておけばそれほど難しいことではありませんのでご安心を。
2、下縫いを利用した3D刺繍
2つ目は下縫いを利用した3D刺繍です。
簡単にいうとステッチを上手く重ねることでボリュームを持たせる手法となります。
例えばWilcom ESにはこの手法を使った「3Dサテン」という機能がありますが、これを使うだけでも手軽に立体的な刺繍表現を行うことが可能です。使い方によっては変わった表現もできて面白いんですよ。オブジェクトを分けてマニュアルで作成すれば立体感も操れます。
ちなみに3D刺繍とまではいなくても、一般的な下縫いの使い方を理解しているかどうかでも刺繍の印象が大きく変わります。のっぺりした刺繍にならないように、ぜひ意味を理解した上で使いこなしていただけたらと思います。
3Dフォーム(ウレタン)を使った3D刺繍のやり方
それでは実際に3Dフォーム(ウレタン)を使った3D刺繍のやり方をお見せします。
1、3D刺繍用の刺繍データを作成
まずは3D刺繍用の刺繍データを作成しましょう。ウレタンを入れることを前提としたデータ作りなので、いくつか普通の平縫いとは異なるポイントがあります。
例えばサテンの密度。最後にウレタンが隙間からはみ出ないようにしたいので、通常よりも密度高めで設定しておく必要があります。数値の設定次第で、ウレタンが綺麗にちぎれるかどうかも決まってきたり…。Wilcom ESの場合はステッチ長ごとに間隔を調整できるので、ここの設定を理解して調整できるとかなり綺麗に仕上げられます。
あとはステッチ順序もけっこう重要。通常の平縫いは糸切りを減らす目的でオブジェクトを途中で切り分けてつなぐこともありますが、3Dの場合はこれをやると汚くなります。3D刺繍に関しては糸切りしても良いので縫い順と縫い方向にもこだわるようにしましょう。
その他デザインによって割れ防止ステッチや隠しステッチも入れる必要もありますが、この辺りも知識として持っていればあとは応用するだけなのでそれほど難しいことではありません。
2、3Dフォームをセットして通常通りに刺繍
データが作れたらあとは簡単。母材の上にカットした3Dフォームをセットし、通常通り刺繍を行います。
ウレタンがずれないようにしっかり固定されるまでは手で抑えながら縫っていきます。刺繍機の扱いに慣れていない方は十分お気を付けください。
今回はウレタンの上から特殊ビニールも乗せていますが、これはステッチの糸目が生地目に食われなくする効果があります。
トッピングの1種で通常の平縫いにもつかわれたりしますね。帽子などには結構使われますが、素材の性質上ベビー服等には使わない方が良いでしょう。より綺麗に仕上げるためのこだわりポイントですね。
3、ウレタンをちぎって完成
最後にウレタンをちぎって完成です。3D刺繍はこの瞬間が一番気持ち良いですよね。ある程度データ作りができていればサクッと綺麗にちぎれます。
今回使ったのは1.5mmと3mmの3Dフォーム。数字だけ見ると薄く感じますが、実際に縫ってみるとかなり立体感が出ます。
ちなみに今回は2段の3D刺繍をやってみましたが、組み合わせ方次第でまだまだいろいろな表現ができそうです。例えばこんな使い方もあったり。
それほど難しくもなく手間もかかりませんのでぜひチャレンジしていただけたらと思います。
ステッチからウレタンがはみ出てしまうときの対処法
最後にちょっとしたコツですが、3D刺繍をしているとウレタンがステッチの隙間からはみ出てしまうことがありますよね。こちらはWilcomの3Dフォントを使ったものですが、ウレタンがうまくちぎれずカスのように残ってしまいました。
デザインによっては、これくらいは仕方がないというのが正直なところです。データ作りで補えるのにも限界があるので、後処理で綺麗に整えてあげる必要も出てきます。
ただ、こういったときは後処理をしてあげることで対応が可能です。上からスチームをかけてあげることでウレタンが縮んでステッチの中に引っ込みます。ウレタン本体が縮まないように気をつけながら行いましょう。
あとはステッチと同色の3Dフォームを使うだけでもかなり目立たなくなります。上記画像は緑のステッチに対して白の3Dフォームを使ったので余計目立ってしまっています。先ほどの「R」でいうと同系色を使っているので後処理を全くしなくてもあそこまで綺麗に仕上がったというわけです。もちろんデザインの差もあるんですけどね。
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