こんにちは!糸の帆(itonoho)のやまもとです。
刺繍ミシンには「家庭用」「職業用」「工業用」の3つのクラスがあります。
ここではその違いに迫っていきたいと思います。
「刺繍ミシン」と「刺繍機」の分類について
まず押さえておきたいのが、「刺繍ミシン」と「刺繍機」という表現の違いです。
辞書などによる明確な違いはありませんが、一般的には家庭用を刺繍ミシン、工業用を刺繍機と指すことが多いです。
刺繍ミシン(家庭用)
現在縫製に使われている家庭用ミシンは「足踏み→電動→電子→コンピューターミシン」と進化してきました。このコンピューターミシンの特徴を活かし、そこに刺繍枠を取り付けたのが刺繍ミシンとなります。
ですから刺繍だけでなく、通常の縫製ミシンのように直線縫いやジグザグ縫いなどの縫製もできるわけです。縫製用ミシンに刺繍機能が付いたようなイメージですね。
刺繍機(職業用・工業用)
一方、刺繍機は刺繍専門に作られた機械です。つまり通常の縫製は一切できません。
その代わり、刺繍専用に設計されたことによるメリットも沢山あります。
正確には「家庭用」「職業用」「工業用」の3クラスなのですが、それぞれ作っているメーカーも異なりますし、実際に選ぶ時はまず「刺繍ミシン」と「刺繍機」の分類で比較した方が分かりやすいです。
以降はこの分類をもとに違いをまとめさせていただきます。
「家庭用刺繍ミシン」と「職業用・工業用刺繍機」の違い
それでは「家庭用刺繍ミシン」と「職業用・工業用刺繍機」の違いを見ていきましょう。
私自信、刺繍ミシンから始めて刺繍機に乗り換えたという背景があるので、細かいことはさておき、実際に使ってみて感じる大きな違いを3つ紹介します。
1、耐久性と生産性の違い
まずはやはり「耐久性」と「生産性」の違いです。
家庭用の刺繍ミシンは、どちらかというとお手頃価格を重視しているので、プラスチックパーツを多く使うなどコストカットされています。簡単に持ち運べるようにとモーターも小さく、稼働時間が短く想定して作られているため、長時間の稼働には耐えられません。(趣味で使うなど使用頻度が少なければ10年以上の運用も可能)
一方、工業用は馬力もスピードもある高トルクモーターを採用したり、針数を多くして糸替えを少なくするなど、生産性を向上させる工夫がされています。油芯を入れたシャフト、ベアリングを多用した軸受けなど耐久性もバッチリ。日々注油するなどのメンテナンスは必要ですが、年中稼働にも耐えうる性能を誇ります。
やはりビジネス目的でバリバリ使うのであれば職業用・工業用クラスが安心ではありますね。
2、糸調子合わせの違い
2つ目は糸調子合わせの違いです。
構造的な違いとして、家庭用刺繍ミシンは「水平釜」、職業用・工業用刺繍機は「垂直釜」を採用しています。双方にメリットとデメリットがありますが、運用上での大きな違いは「下糸」の糸調子が合わせられるかどうかにあるでしょう。
家庭用は「上糸」のみでテンションを調整します。つまりメーカー推奨の糸を使わないと糸調子が合わなくなるのです。
その点、職業用・工業用は「上糸」と「下糸」ともにテンション調整が可能。どんなメーカーの糸も使えます。例えば、下糸は「ポリエステル」「カタン」など、そして上糸もポリエステルだけでなく切れやすい「レーヨン」なども糸調子合わせが可能です。
3、刺繍枠の種類と大きさの違い
3つ目は「刺繍枠」の種類と大きさの違いです。
家庭用の刺繍ミシンは、生地に刺繍してから縫製する「半縫製」が基本。枠の種類が少なく範囲も狭いので、自ずと作れる刺繍アイテムの幅も狭くなります。
一方、職業用・工業用の刺繍機は、完成品にあとから刺繍することも可能です(帽子、野球グローブ、ゴルフバッグなど)。枠の種類が豊富で範囲も広いので、その分創作の幅も広がります。
それぞれの特徴とメリット・デメリットまとめ
最後に両者のメリットとデメリットをまとめておきます。
上記以外にも多くの違いがありますのでご参照ください。
家庭用刺繍ミシンの特徴
職業用・工業用ミシンの特徴
目的に応じたクラスの刺繍ミシンを選ぼう
ぜひ上記の特徴を参考に刺繍ミシンを選んでみてください。
用途によっては家庭用で十分な方も多いでしょうし、逆に職業用~工業用クラスの刺繍機でないと思っていたことが出来ないという方もいるはずです。
最後に、下記の記事で用途別のおすすめ刺繍ミシンもまとめてあるのでご参照いただけたらと思います。
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