
こんにちは!糸の帆(itonoho)のやまもとです。
ここでは刺繍ミシンの各社ラインナップと特徴をまとめました。
ミシン刺繍を始める目的を下記3パターンに分け、それぞれにおすすめの機種をご紹介。各メーカー・機種ごとに特徴がございますので、ぜひ刺繍ミシン選びの参考にしてみてください。
1、おすすめの刺繍ミシン(家庭用)
まずは趣味でミシン刺繍を始めたい方におすすめの機種。
このクラスはどれも縫製ミシンの延長であり、縫製をやっていらっしゃる方にはお馴染みのメーカーが並びます。
縫製ミシンで有名な「JUKI」や「ジャガー」にも刺繍ミシンのラインナップはありましたが、今は縮小されていて「ブラザー」か「ジャノメ」のどちらかより選ばれる方が多いです。「ハスクバーナー」はベビーロックで取り扱いがあります。
今回、家庭用のおすすめ刺繍ミシンとしてピックアップさせていただくのは「ブラザー」と「ジャノメ」の2つです。
ブラザーの刺繍ミシン(家庭用)

320万円(税込み)という超高額家庭用ミシンをラインナップに加えるなど話題の尽きないブラザー。家庭用刺繍ミシンにおいては最も力を入れている1社です。全国各地に販売店を持ち、そうした強みを生かして顧客の声を取り込みながら商品開発を続けてきました。
ディズニーキャラクターなど豊富な刺繍データを内蔵したのもそれらを反映してのことでしょう。他にも多くの刺繍データを販売しています。
また最近では刺繍に特化した専用機「SKiTCH PP1」を発売するなど、業界でも注目を浴びています。こちらは一般ミシンのような縫製は出来ませんが、刺繍に特化させたことやコントロールパネルを取り除くなど、コストカットして入門しやすい価格設定がされています。
また水平釜ながら袋物がセットできる設計、マグネット枠の採用やデータ制作のサブスク化など…。従来のターゲットとは異なる新たなユーザの掘り起こしなども期待されている1台です。
同社では、オリジナル刺繍を楽しみたい方向けに「刺しゅうプロ」というソフトを用意するなど、様々な顧客ニーズに応じた選択肢を与えています。
ラインナップ
ちなみにこちらが現行モデルのラインナップ。
金額は比較用として定価を載せていますが、実際はかなり値引きされています。詳細は最寄りの販売店等に問い合わせてみてください。
モデル | 希望小売価格(税込) |
アヴェニール EV1 | 3,200,000円 |
ルミナイアー XP1 | 2,288,000円 |
イノヴィス VF1 | 1,067,000円 |
イノヴィス VS | 836,000円 |
イノヴィスNX2800DW | 503,800円 |
CR2600W | 459,800円 |
CR2500 | 459,800円 |
ソレイユ CRW | 363,000円 |
NE1000MW | 338,800円 |
PICNO KW | オープン価格 |
ファミリーマーカー FM2100D | 245,300円 |
SKiTCH PP1 | 107,800円 |
刺繍ソフトとバラ売りデータ
ジャノメの刺繍ミシン(家庭用)

ブラザー同様、世界的にも大きなシェアをもつジャノメは、同じく豊富なラインナップを提供しています。刺繍データをダウンロード出来たり、刺繍ソフトを使ってオリジナルデータを制作することも可能です。
ジャノメの刺繍ユニットはミシンの後方に付くため、フリーアームの状態で刺繍ができる機構となっています。後ほど紹介する職業用ほどではありませんが、筒状のもの(完成品)への刺繍に便利な設計です。
こちらも工業用ミシンに匹敵する価格帯のハイグレードなモデル「コンチネンタルM17」が登場しましたが、国内販売は未定のようです。
ラインナップ
こちらが現行モデルのラインナップ。
金額は比較用として載せていますが、実際はかなり値引きされています。詳細は最寄りの販売店等に問い合わせてみてください。
モデル | 希望小売価格(税込) |
セシオ14000 | 704,000円 |
ハイパークラフト 1500 | 682,000円 |
セシオ 9900Pro | 434,500円 |
セシオ 9720P | 379,500円 |
ハイパークラフト 930 | 363,000円 |
ハイパークラフト 900 | 308,000円 |
ハイパークラフト 850 | 294,800円 |
セシオデイリー1000 | 220,000円 |
メモリークラフト 400E | 231,000円 |
メモリークラフト 100E | 198,000円 |
ソフトとバラ売りデータ
2、おすすめ刺繍機(職業用)
ここからはビジネス展開も可能な職業用のラインナップです。
刺繍ビジネスを始めたいという方の入門用機や、自宅にも設置できるコンパクトな刺繍機をお探しの方におすすめの商品。ちなみに予算は90万円~160万円を超えるくらいです。
職業用機のメーカーは複数ありますが、実はターゲット層に明確な違いがあります。
設計や使用されているパーツの違いにより、「趣味ユーザー寄り」、「お仕事ユーザー寄り」といった特徴がありますのでその辺りも注目して比較されると良いでしょう。
ブラザーの刺繍ミシン(職業用)

4社の中で唯一「家庭用針」を採用しているブラザーPR。自動糸通しが使える家庭用針は、針穴の糸通しが苦手なユーザーにとっては心強い味方となることでしょう。その他ライブカメラによる位置合わせ機能の導入など、初心者さんに易しい機能を組み込むことで独自の発展をしています。
その反面、工業用針に比べると針種が少なかったり、針代が高くなるなどのデメリットもあります。
また家庭用モーターの採用や、シャーシ構造も工業用機に比べると弱いため、構造上1500時間ごとに全分解グリスアップなどのメンテナンスが必要です。他の職業用機と比べランニングコストがかかりますので、定期的な維持費として予め販売店に確認しておくと良いでしょう。
スピードや耐久性など、そこまでハードな使用は求めないユーザーさんにおすすめです。
ラインナップ
こちらが現行モデルのラインナップ。
簡単位置決めカメラ機能は最上位モデルに搭載されています。
モデル | 希望小売価格(税込) |
PR1055X(10針) | 1,639,000円 |
PR680W(6針) | 1,102,200円 |
PR1X(1針) | 748,000円 |
VR100(1針) | 618,200円 |
ジャノメの刺繍ミシン(職業用)

ジャノメ職業用ミシンの特徴は何と言ってもコンパクトなところ。出来るだけ設置スペースを取りたくない方には特におすすめです。小さいですが、ボールベアリングの採用など耐久面はしっかり強化されています。
また、1.4倍釜を採用し下糸が40%余分に巻ける工夫や、アレンジ性の高い工業用針を採用しているのも魅力でしょう。
ちなみに刺繍ソフトは「アーティスティックデジタイザー」が用意されています。
ラインナップ
こちらが現行モデルのラインナップ。
ロゴやデザイン刺繍などもしたい方はMB-7がおすすめです。NS-40はネーム刺繍機として、ネームソフトJNES(NS-4)が付属します。
モデル | 希望小売価格(税込) |
MB-7(7針) | 880,000円 |
NS-40 (4針) | 858,000円 |
ハッピージャパンの刺繍機(職業用)

95%以上が輸出向けという事もあり国内知名度は低いですが、世界でも人気の高いミシンメーカーの1つです。家庭用ではシンガーブランド、工業用ではハッピージャパンのブランドで世界へ輸出されています。
実は業界唯一の国内生産機。ほとんどのミシンブランドは安価なモデルを台湾などで海外生産していますが、こちらの刺繍機はすべて山形にある工場にて生産されています。
机上にも置けるコンパクトサイズでありながら、ACモーターの採用や、鋳物、ベアリングを多用した設計など、耐久性は工業用にも匹敵。その安定性の高さによりシリンダーベッド周りの脚も必要としないため、刺繍周りの懐が広く、大きなアイテムへの刺繍も可能な点も魅力です。
またこのクラスにしては珍しく布押さえの動きも独立化しており、アイテムのバタつきも抑えられるため、品質を重視したい方にもおすすめな刺繍機です。
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こちらが現行モデルのラインナップ。価格はオープン価格ですので下記は参考価格と思ってください。
「HCH-701-30」と「HCH-701P-30」は見た目がほぼ同じですが、工業用パーツを採用することで耐久性や生産性が大きく向上しています。P仕様(プロフェッショナル)及びHCS3は、工業用の括りに入れても問題ない性能といえるでしょう。
モデル | オープン価格(税込) |
HCS3-1201-30(12針) | 1,240,000円(参考) |
HCH-701P-30(7針) | 1,080,000円(参考) |
HCH-701-30(7針) | 880,000円(参考) |
タジマの刺繍機(職業用)

刺繍業界では世界でもトップシェアを誇るタジマから新たに登場した職業用機。耐久性・生産性は(工業用に比べ)抑えながらも、操作性を重視したシンプルなマシンです。
こちらは「ライタープラス」という刺繍ソフトがセットで付属します。プロのデジタイザー向けではありませんが、ソフトを持っていない方にとっては嬉しい特典でしょう。
下記で紹介する工業用に比べると性能は抑えられていますが、何はともあれタジマブランドというだけでも、候補に入れる価値はあるでしょう。
ラインナップ
個人店・作家などの需要に応える目的で新たに開発された職業用刺繍機MDP-S801Cは「彩(SAI)」という名称で2017年リリースされました。
モデル | オープン価格(税込) |
MDP-S0801C(8針) | 1,210,000円(参考) |
3、おすすめ刺繍機(工業用)
工場などで使用されている刺繍機は、日本のメーカーが世界でも多くのシェアを持っています。
「単頭機」と「多頭機」がありますが、個人で選ぶならば単頭機からのチョイスで間違いないでしょう。メーカーは複数ありますが、日本メーカーはどれも優秀で安心です。
何れもエントリーからハイエンドまで様々なラインナップがあり、針数などをはじめとするバリエーションも多岐に渡ります。それぞれに優れた特長がありカスタマイズも可能、おすすめも用途によって変わってきます。
一つ一つ上げるとキリがないので、ここでは業界でも人気な国産2モデル+番外編についてご紹介。
タジマ TMEZ-S1501C

タジマ単頭機のハイエンドモデルで、AI自動糸調子を搭載した刺繍機です。
刺繍機を使っていて一番面倒なのが「糸替え作業」と「糸調子合せ」。この最新モデルは全自動で上糸調整をしてくれます。素晴らしすぎです。
実際導入した方からも「金色糸の注文を請けるのも苦にならなくなった」という声をよく聞きます。私も何度か使用しましたが確かに楽ですね。複数名のオペレータを採用している工場にとっては、品質安定の大きな手助けとなることでしょう。
刺繍面積は標準で360×500ミリ、最高回転数は1,200rpmです。
ハッピージャパン HCU2-1501

こちらはハッピージャパン単頭機のハイエンドモデル。
最高回転数がなんと1,500rpmという、業界最高スピードを誇る刺繍機です。ここまで高速回転させても安定しているのは鋳物を得意とした設計技術力のなせる業ですね。またカラーチェンジ(色替え)のスピードも業界随一であり、生産性の面でもかなりのメリットが期待できます。
オプションでデジタル糸調子が用意されていますので、こちらもオペレーター問わず安定した刺繍ができます。
刺繍面積は標準で400×600ミリと汎用機としては業界最大レベル。オプションで400×1,200ミリまで拡張が可能です。
シリウス SR1501PRO

こちらは中国製になりますが、wilcom社と戦略的パートナシップを締結しているDahao(ダハオ)のコントローラーが採用されており、EMBファイルとの連携など今後の展開も期待される刺繍機です。
ちなみにSIRIUSという名称はwilcom社の初期のブランド名に肖っています。
刺繍面積は標準で400×600ミリとこちらも汎用機としては業界最大レベル。最高回転数は1,200rpm。
他メーカーだとオプションになる専用台、原反枠、帽子枠などが最初から付属するのも魅力的です。
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