
こんにちは!糸の帆(itonoho)のやまもとです。
弊社は現在「HappyJapan」代理店として活動しておりますが、元々はただの1ユーザーとしてHappyJapanの刺繍機を購入して使っていたのが始まりでした。長く糸の帆を見ていただいている方はご存じの方も多いかもしれませんが、当時はこんなお仕事をさせていただくなんて思ってもいなかったですね…。
そこで今回は、当時の私がなぜHappyJapanの刺繍機を選んだのか、その決め手となった5つのポイントをお話したいと思います。これまでも各所で聞かれていたのですが、私の経験がこれから刺繍ビジネスを始める方の参考になれば幸いです。
「日本のきめ細やかなものづくりによって、高品質でリーズナブルな製品を生み出していきたい」
ひとことで言えば、この思いが体現された刺繍機だと感じたからです。
私がミシン刺繍を始めたきっかけ
まずは簡単に、刺繍を始めたきっかけから刺繍機を導入するまでの流れをお話ししましょう。
弊社で刺繍を始めたきっかけは、入園・入学グッズへの名入れです。あくまで縫製がメインで、差別化のために簡単な名入れやワンポイントを入れたいというのが目的でした。当時はまだこんなに刺繍にのめり込むつもりもなかったです。

そこで最初は、家庭用の刺繍ミシンとソフト(brotherイノヴィス×刺しゅうプロ)を導入。ただ実際注文を請け始めると予想以上の需要があり、すぐに家庭用機の使用の域を超え、販売店の方にも使いすぎと怒られるような状況になっていました(笑)
さらに実務をやっていく中で、品質や生産性にも限界を感じることが増えてきて、本格的な刺繍機・ソフトが欲しくなったんですよね。その頃にはミシン刺繍のビジネスとしての可能性も感じ始めていました。
ただ当時はお金もなく、設置場所が木造家屋の2階ということもあり、工業用クラスは断念し職業用クラスの刺繍機から選ぶことになりました。
それから一通りの選択肢を検討した結果、私が最終的に選んだのがHappyJapanでした。下記その決め手となった特徴を現在の知見も踏まえてご紹介させていただきます。
HappyJapanの刺繍機の特徴
1、国内・自社生産によるコスパの高さ
一つ目はなんと言っても優れたコストパフォーマンスでしょう。
同じクラスで比較した時に、シンプルに価格が安い。まずはこれでした。
といっても、決して安い部品でコストカットされているわけではありません。その背景を聞くと、この価格設定には刺繍機の生産体制が大きく影響していることが分かり納得しました。
HappyJapanの社風として「自社生産」に強いこだわりがあるそうで、設計からボディの製造、アフターサービスまで、その多くを自社で担う環境が整えられています。今の時代ではなかなか希少なことです。

実際に工場内も見せていただいたのですが、広大な土地と、ものづくりのためのドデカい機械がズラリと並んでいる光景に驚きました。上記写真の外観はその一部ですが、地域周辺に同じ規模の建物や協力工場などが集約しています。
刺繍機の組み立ても全て日本国内(山形)の工場にて行われており、検査と試運転の後に全世界へと届けられています。実は業界唯一の国内生産機なんですが、世界的に人件費が高騰している現在においては日本に工場が置かれていることも逆に価格を抑える後押しになっているでしょう。
この独特な生産体制が、私たちユーザーに安定してこの価格で提供されている理由です。
2、圧倒的な耐久性と、ランニングコストの低さ
続いては耐久性とランニングコスト。
設備投資の際、気になったのが「機械寿命やランニングコストはどれくらい?」という点でした。家庭用ミシンに比べ寿命が長いのは想像できますが、実際のところはどうなのか?
これについては、縫製業のつながりで各組合の方々とお会いする機会もあり、メーカーやモデルによって大きく差が出ることを聞いていました。実際、定期メンテナンスやオーバーホールの必要性などが変わってくるのは有名な話ですが、そこには使われているパーツの性能差や、設計の違いが大きく影響しています。
まずHappyJapanの刺繍機は、ボディに使われている素材から特徴があります。なんと職業用クラスから「鋳物」で作られているんです。工業用機と違い、職業用機ではよく「アルミ」が使われるのですが、HappyJapanでは職業用クラスの機種にもガッツリと鋳物が使われています。

なぜこの価格でそんなことができるのか…。それはHappyJapan自体が、元々が鋳物業から始まっているという背景があるからです。自社で1から製造しているからこそできる、他には真似できないお家芸と言えるでしょう。鋳物は頑丈で振動に強い特性があるため、安定して精度の高い刺繍を実現するための土台として最適です。
ちなみに振動に強いことに加え、店頭や集合住宅でも音を気にせず使えるように静音化も考えられています。音が出やすいジャンプ機構もパルスモーターで制御することで静かです。
また主軸のモーターに、工業用機にも使われる「ACモーター」が採用されているのも大きなポイント。実は職業用クラスでは、家庭用刺繍ミシンなどに採用されているコンパクトな「DCモーター」が使われる機種も多いんです。そんな中、HappyJapanでは品質のこだわりから職業用機にもACモーターを採用しています。

実際に手元で見比べるとよく分かるのですが、この2つ、サイズ感からして全くの別物です。主軸モーターは刺繍機を動かすための心臓部ともいえる重要な部品であり、その違いは馬力や連続稼働性、機械寿命にも直結します。
加えて駆動部にはふんだんに「ベアリング」が採用されており、各部品の摩耗を防ぐ対策にもぬかりはありません。これもランニングコストをかけず長く安心して使える理由の一つで、これがあるのとないのでは各所の壊れにくさに差が出ます。定期メンテナンスやオーバーホールの必要性の有無はこういったところの違いというわけです。
この他にもタイミングベルトの太さなど、細かいところに至るまでものづくりに対する妥協のないこだわりが見られます。
3、縫い品質と生産性の高さ
続いては、縫い品質と生産性。
これからミシン刺繍を仕事にすると決めた時、やはり品質や生産性は妥協できないポイントでした。まずは安定して綺麗な刺繍ができること、そしてただ綺麗なだけではなく、時間あたりの利益率を高めるために早く縫い上げられる環境であることを重要視しました。
HappyJapanの刺繍機の特徴に「布押さえ」の動きが挙げられます。
一般的な刺繍機は針棒と布押さえが同時に動く設計となっており、布押さえを指で押し下げると針棒も一緒に降りてくる仕組みです。両者が同じタイミングで上下するということは、針が生地から抜けるタイミングで布押さも一緒に上昇してしまうということ。つまり生地の固定が甘い状態で針が動くため、生地がバタつきやすく縫い不良や針折れといったトラブルの原因となることがあるんです。
工業用のハイエンド機だとこの現象を改善するための工夫が施されている機種もあるのですが、HappyJapanではなんと職業用クラスから針棒と布押さえが独立して動く設計になっています。動画をご覧の通り、布押さえも都度定位置まで上がりきることがなく動きも最小限。より生地が安定した状態で刺繍できるので、当然縫い上がりのクオリティも向上します。
他にも、枠を移動させる「X・Yキャリッジ」のガイドの形状が特徴的で、ブレが起きづらい工夫もされていたり。ボディが鋳物というだけでなく、こうした細かい設計思想やパーツの違いにより安定した縫い品質が実現されています。
そしてこれらの特徴は縫い品質だけでなく、生産性にもそのまま好影響を与えます。
土台・縫い環境が安定しているということは、その分早い縫いスピードに耐えられるということ。ここが弱いと安定した環境を作り出すために、機械的あるいは手動で縫いスピードを落とすしかないのですが、土台が安定していればいるほど高速な縫いスピードにも耐えられるようになります。

ちなみに職業用クラスだと一般的に最高回転数は800~1,000rpmくらいになるのですが、単純にこの数値だけ見ても生産性は計れません。実際は上記のような理由から、品質面を考慮して振り幅によって自動減速したり、色替え・糸切り・縫い始めにかかる時間にも違いがあらわれるのですが、Happy機はその辺りにも優れています。
その他コントロールパネル内の設定でも、針棒ごとの速度調整や、加工環境・製品に合わせて枠を動かすタイミングを調整することもできたり。細かい所にもこだわりを持ちたい私にとっては、職業用クラスでもこうして変更できることは非常に助かります。
4、コントロールパネルの使いやすさと豊富な機能
続いてコントロールパネルの操作性と機能。
上記でも少し触れましたが、コントロールパネルの操作性や使える機能も機種によって当然変わってきます。刺繍データの読み込み、位置合わせ、針番設定、信号設定などなど…。一連の工程がスムーズにできることで、日々ストレスなく刺繍することができます。
まず読み込みについては「HappyLan」というアプリが備わっており、USBメモリ、USBケーブル、有線LAN、無線LAN(Wi-Fi)といったあらゆる転送方法が可能です。

しかもPC側から転送するだけでなく、刺繍機側からPC内のデータを読み込むことができるのも魅力的。ミシン刺繍をしている方ならこの便利さが分かると思います。
また、位置合わせについても色んな機能があるんですが、特に「2点指示位置合わせ」が優秀です。

例えば枠はめの時点で生地が斜めにズレても、そこに合わせて正確な角度や位置で刺繍を入れることができます。これがあることで、製品への位置合わせに困ることはありません。さらに自分で引いたベースラインからのオフセットも数値で指定できるので、例えば「服の胸元ポケットから10mm上」みたいな刺繍にも簡単に対応できます。
あとは針棒設定の一括変更機能も便利。

「刺繍機の各針番にセットされている糸色」と「データ上の色番設定」が異なることはよくある話ですが、こういう時も1つずつ針番をセットし直す必要はありません。例えば「データ上で針番3が設定されている色番を、全て針番5に変更する」みたいなことも簡単に出来るんです。一括変更できるので、針番指定やそれに伴う糸のセットにかかる手間も軽減されます。
機能については挙げだすときりがないのですが、その他ユーザー向けのメンテナンス(お手入れ)機能など、とにかく出来ることが多いのが魅力です。刺繍業務中に起きうるあらゆる課題への対策がしっかりとられています。
ちなみに、運転画面によく使う機能を自由に並べられる機能も備わっているので、各々の使い方に合わせて操作画面をカスタマイズすることも可能です。しかも職業用~工業用まで全て同じ操作画面。実はこれもなかなか珍しいことで、こういったところからもユーザビリティへの配慮が感じられました。導入後さらに事業拡大したいとなった時も、職業用→工業用への展開もスムーズだということです。
5、製品への刺繍に優れた形状と刺繍範囲
最後に特徴的な形状と刺繍範囲。
どんな製品に刺繍できるのか、一括で縦×横どれくらいのデザインサイズが刺繍出来るかも当然重要になってきます。
それでいうと、HappyJapanの職業用機はちょっと独特な形をしていますよね。なぜあえてこんな形になっているのか。当然そこにも理由がありました。

まず目につくのは、シリンダーベッドの下部に脚がないところ。シリンダーベッド周りに障害物があると、製品が引っかかって刺繍できないケースがあるんですよね。大きなものなどは物理的にセットできません。
構造上邪魔するものが何もないことで、製品への刺繍がしやすいという利点があります。工業用機もコの字に脚が付いているものと、吊り下げ式の形状のものがありますよね。職業用機でこの形状はHappyJapanならではでした。
加えてベッドサイズ自体も小型化されているので、ポケットの際や細かい筒物のより奥まで刺繍ができたり。とくにかく製品への刺繍に優れた設計となっています。
また、Y軸方向への刺繍範囲が広いのも特徴です。

見ての通り奥行の広い設計となっており、Y軸方向への枠移動範囲が長く設計されているんです。コンパクト機でありながら一括で刺繍できる範囲が広く、かつ最大刺繍範囲の形状がほぼ正方形となっていることもあり使い勝手が良いです。
以上、決め手となった5つの理由についてのご紹介でした。他にも話したい魅力はたくさんあるのですが、さすがに長くなりすぎるので今回はこれくらいで(笑)
ミシン刺繍は趣味~仕事まで様々な規模感で使われていますので、もちろんやりたい刺繍や環境によっても人それぞれ最適な選択は異なるでしょう。結果的に私の状況には上手くマッチし、期待以上の活躍をしてくれています。その後、工業用機を導入した今でもそれは変わりません。

マンツーマンでの技術研修を経て、機械内部についても深く勉強させていただきましたが、改めて私のように中小規模から刺繍ビジネスを始めたい方には相性が良い刺繍機だと思います。
コメント