こんにちは!糸の帆(itonoho)のやまもとです。
刺繍の主役って何でしょう。
刺繍機、刺繍ソフト、芯地など様々な設備や資材が必要ですが、やはり主役と言えば糸なんじゃないかと思います。最終的に作品となって目に触れるのは糸ですからね。
今日はそんな刺繍糸の保管に関するお話です。
刺繍糸の寿命と保管の注意点
刺繍糸には寿命があります。ただ糸自体には消費期限はもちろん、製造年月日すら記載されていませんよね。以前メーカーさんに確認したところ、やはり保管状態によって全く異なるため目安の案内が難しいそうです。
実際「メーカーの作りたてを購入する」なんて事も極めて稀です。普通は工場倉庫→代理店倉庫→店頭小売りといった経由で購入されるため、場合によっては随分古いものが手元に届くケースもあるでしょう。それゆえ私たちエンドユーザーとしては、適切な環境で刺繍糸を保管して少しでも寿命を延ばしたいところです。
刺繍糸の保管方法は下記3点に注意すると良いと言われています。(合繊・天然繊維の違いもありますので一般論としてご参考ください)
1、紫外線対策
1つ目は紫外線対策。
直射日光はもちろん、極力紫外線の当たらない暗所にて保管しましょう。紫外線は色褪せの要因となるとともに、糸切れなど劣化を早めます。
ちなみに僅かではあるものの、蛍光灯からも紫外線は発生しています。その点LED照明の多くは紫外線を含みません。
2、ほこり対策
2つ目はほこり対策です。
刺繍や縫製の現場からは多くの繊維くずや埃が発生しますよね。糸に付着した埃は刺繍時のトラブルにもつながりますので、出来れば密閉されたクリーンな空間での保管をおすすめします。
また素材によってはガスヒーターなど、ガスや蒸気なども変色等の要因になる場合があります。
3、温度・湿度管理
3つ目は温度・湿度管理です。
温度と湿度はいずれも糸の劣化に大きく影響します。特にレーヨンなど水気が苦手な素材もあるため、高湿などでの長期保存は避けましょう。
一般的には人が快適に過ごせる環境下であれば問題ないです。(温度は15~25℃、湿度は40~60%)
ちなみにメーカーでは購入時の「OPP袋」での保管を推奨しています。
紫外線や埃については「引き出しで保管する」など対策しやすいものの、温湿度は計器がないとイメージしにくいかも知れませんね。下記温湿度計は私も愛用していますが、過去7日分の温湿度変化をグラフで表示できるタイプで、不在時の把握も出来て便利ですよ。
刺繍糸の管理方法について
最後に刺繍糸の管理方法についても少しまとめさせていただきます。
糸番管理と棚番管理
刺繍糸の管理には「糸番管理」と「棚番管理」の方法があります。
請負工場などではメーカーの品番(糸番)順に並べていた方が探しやすいと思いますし、個人作家さんの場合は色分けして並べた方が見やすいと思います。
私も作家としての作品作りには色分けされていた方がイメージしやすいため「棚番管理」を採用しています。具体例では棚番「1527」は15列の上から27番目の糸といった見本帳に準じたイメージです。
さらに刺繍ソフト上ではどちらでもアウトプットできるようにしているので管理がスムーズになります。
有孔ボードの注意点
糸をディスプレイするには有孔ボード(パンチングボード)が最適です。フックの種類を変えれば、糸以外にも様々な備品を並べることができます。
注意しておきたいのは耐荷重ですね。ボードやフックそのものの耐荷重もさることながら、取り付け場所への配慮が重要です。例えば私のケースでは糸とカバー、フックで1組あたり重さが86g程度ありました。ボード1枚に360個並べたとすると31㎏ほどの荷重がかかる計算です。
そんなに心配する重さではないですが、壁が石膏ボードのみの場合には難があるかと思いますので柱の強化などはした方が安心でしょう。
またディスプレイにする際は、紫外線や埃の対策も別途しておきたいところです。
糸カバーについて
ディスプレイするならパールヨットさんの別売り糸カバーもおすすめです。
ほこりが軽減されますし、何といっても都度の糸留めが不要になるのが大きなメリット。これだけでかなりの時間短縮になりました。
特にレーヨン糸はほどけやすいため、糸留めしていてもスルスルと抜けていた…なんて経験者も多いのではないでしょうか。糸カバーがあればそういった心配も減り、取り扱い時のストレスが大幅に解消されます。
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