ミシン刺繍枠の正しい使い方!デザインや生地に応じて使い分けよう

刺繍機 枠種 刺繍のやり方

山本凌哉

こんにちは!糸の帆(itonoho)のやまもとです。

ここではミシン刺繍・機械刺繍における「刺繍枠」をご紹介。

種類とそれぞれの特徴、正しい使い方をまとめました。

ミシン刺繍枠の種類

まずは刺繍枠の種類から見ていきましょう。

沢山ありますが、ここでは代表的なものを紹介させていただきます。

1、標準枠

標準枠
標準枠

まずは、刺繍ミシン・刺繍機を購入するとついてくる標準枠。

よくあるのが「丸」と「四角」のこの2タイプです。母材を挟み込むように使用します。

最初はこのタイプを使われる方が多いと思います。標準というだけあって、以降紹介する刺繍枠と比べると若干の使いづらさはありますが、慣れれば問題なくご活用いただけます。

ちなみにこちらの標準枠は「置き縫い枠」を作るときにも利用されます。

2、マグネット枠

マグネット枠
マグネット枠

マグネット枠。マイティフープ枠とも呼ばれます。

母材を挟み込むという構造自体は上記で紹介した標準枠と同じですが、中に強力な磁石が入っているのでよりスムーズに挟み込むことができます。

こちらも最初は慣れが必要ですが、コツを掴めば非常に扱いやすい刺繍枠となっています。

3、ステン枠

ステン枠
ステン枠

ステン枠。Mフレーム枠とも呼ばれます。

こちらはステンレス製の枠の上に母材を置き、上から4点を強力な磁石で抑えるように使用します。

ステン枠 マグネット
ステン枠用マグネット

こちらがその磁石。枠のサイズにあわせていくつかサイズが用意されています。

ステン枠は一般用途に使われる枠種の中では、個人的に一番使いやすいと思います。生地のセッティングも簡単綺麗ですし、上記2つの枠種と比べて生地に枠跡が付かないというのも魅力的。

上記3つが一般用とに使われる枠種となりますが、それぞれ特徴があるので扱う生地や加工品に応じて最適なものを選びましょう。効率もかなり変わってくるかと思います。

4、その他特殊枠

帽子枠
帽子枠

あとは特殊枠ですね。

例えば帽子、靴、靴下、ポケットなど…。特定の商品に刺繍をするために作られた専用枠です。加工や商品ラインナップの幅が一気に広がります。

原反枠
原反枠

他にもサイズの大きな「原反枠」や、枠幅が可変する「ロボットアーム」など、様々な枠が存在します。この辺りの枠種は刺繍機メーカーによってばらつきがあるので、事前に自分がやりたい刺繍ができるかを確認しておくと良いでしょう。

ロボットアーム枠
ロボットアーム

とはいえ、いざとなった時にはオーダーメイドで枠を作成してくれるお店に頼るという手段もあります。

枠は基本的にオプションなので、あとから必要に応じて追加購入したくなった際は参考にしてみてください。

ミシン刺繍枠の正しい使い方

続いて刺繍枠の正しい使い方をご紹介。刺繍枠は間違った使い方をすると、縮みやズレなどが生じて仕上がりに差が出てしまいます。

枠はめ作業はそれほど重要なんですが、刺繍機の取説にもそれほど詳しく書かれていませんし、実際誤解を招く表現も多く見かけます…。

刺繍枠を使うときは下記の4つのポイントを意識してみてください。

刺繍枠を使うときのポイント
  1. 刺繍データがちょうど収まるサイズが理想
  2. できれば四角よりも丸を
  3. 張り過ぎない
  4. ネジを締め過ぎない

1、刺繍データがちょうど収まるサイズが理想

刺繍枠は複数のサイズが用意されていますが、なるべく刺繍データがちょうど収まるサイズの枠を使いましょう。

もちろん刺繍のデザインにもよりますが、遊びの部分が大きいと伸び縮みのリスクが高まります。さらにいうと大きな枠より小さな枠の方が安定しますね。

オプションで別サイズの刺繍枠が用意されている場合は、出来るだけ揃えておきたいところです。

2、できれば四角よりも丸を

刺繍機 刺繍枠

サイズの違いだけでなく、刺繍枠には「四角いタイプ」と「丸いタイプ」が用意されている場合があります。

もちろんデザインに合った形状が良いのですが、一般的には四角よりも丸の方が安定すると言われています。生地を挟んだ際に、全方向に対してバランスよく力が加わるからです。

3、生地を張り過ぎない

刺繍枠に生地をセットするときは、「タンバリンのように張りを持たせる」イメージで良いのですが、力の限り引っ張れば良いわけでもありません。

極端に張り過ぎると、刺繍するまでは良くても枠から外したとたんに生地が縮んでしまいます。標準枠やマグネット枠のように挟み込むタイプの枠は要注意です。

生地は織物と呼ばれ、タテ糸とヨコ糸を規則的に織って作られています。

生地によって異なりますが、共通して言えるのはバイアス方向(斜め)に伸びやすい性質があること。刺繍枠にセットする際は、糸目が上下左右真っすぐにするのが重要で、たるませないだけでなく、斜め方向に引っ張りすぎないことがポイントです。

またTシャツなどのニット(編物)は更に伸び縮みが激しく、生地とは力加減も当然変わってデリケートさが必要となります。

まずは「接着芯」や「硬化剤」などにより安定させること。次に自然に近い適度な張りで枠にはめることを心がけましょう。

4、ネジを締め過ぎない

刺繍枠 ネジ

最後に刺繍枠のネジを強く締め過ぎないこと。

刺繍枠に生地をセットする手順
  1. 刺繍枠のネジを緩める
  2. 生地を挟む
  3. たるみを補正しながらネジを締める

この仕上げの際、初心者は生地が緩まないように力いっぱいに締めがちです。中にはドライバーやペンチを使って限界まで締めたがる方もいるかもしれません。

そもそも刺繍枠は見て分かる通りそれほど頑丈な作りではありません。仮に工具を使うにしても、ミシンに付属している針板ドライバーのような小さなものにしましょう。普通は指で締める程度で十分です。

家庭用と工業用の刺繍枠の違い

刺繍枠 アタッチメント

ちなみに「家庭用刺繍ミシン」と「工業用刺繍機」では、刺繍枠にもいくつか違いがあります。

まず、家庭用と比べると工業用は使える刺繍枠の数が多いです。

帽子用など専用枠の種類も増えますし、アタッチメントを使うことで別メーカーの刺繍枠も使えるようになるなど、当然できることにも差が出てきます。

さらに大きな特徴として、挟む方向の違いが挙げられます。

家庭用と工業用の刺繍枠
左:家庭用刺繍枠 右:工業用刺繍枠

家庭用と工業用をよく見比べてみると…。刺繍枠のミシンにセットする側が、家庭用は生地より下に、工業用は生地より上に出ているのが分かるでしょうか?

実はこの構造の違いが、筒状の物(完成品)に刺繍できるかどうかに関わっています。

完成品への刺繍
工業用刺繍枠

ご覧の通り、工業用の刺繍枠は下方向に生地が出るため、筒状のものなど完成品にも刺繍ができるというわけです。

私も家庭用から工業用へと進みましたので、初めて知ったときは目から鱗でした…。

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