ヒートカットのやり方と必要な道具まとめ

ヒートカット やり方 刺繍のやり方

山本凌哉

こんにちは!糸の帆(itonoho)のやまもとです。

ここではヒートカットのやり方をご紹介。うちでもオーダーメイドのワッペンや、ネーム刺繍ワッペンを作る時によく活用しています。

ワッペンの端処理は他にも「巻ロック」や「レーザーカット」などがあります。その中でもヒートカットはコスト面でも入門しやすいですし、鋭角なカットなども行えるメリットがあります。

慣れれば難しくはありませんがちょっとしたコツもありますので、参考にしていただけたらと思います。

ヒートカットのやり方

まずは簡単にヒートカットに必要な道具と手順から見ていきましょう。

必要な道具

ヒートカットに必要な道具

ヒートカットに必要な道具は3つです。

ヒートカットに必要な道具
  • ヒートカッター(温度調整機能付き)
  • こてクリーナー
  • 作業台(ガラス板など)

1つ目は「ヒートカッター(マークカッター)」。

はんだごてと同じで構いませんが、温度調整が出来るコントローラーと合わせて購入しておくと便利です。温度が高すぎても低すぎてもダメなので、細かい調整が効くものをおすすめします。

コテ先も真っすぐな標準から、曲がったタイプ、ナイフのようになったものなど種類があります。

2つ目は「こてクリーナー」。

ヒートカットしていると溶けた生地がこて先に付きます。その都度拭き取らないと刺繍ワッペンが汚れるので注意しましょう。

水を含ませたスポンジですとコテ先の温度が下がりますので、少し時間を空けて再開した方が良いです。汚れがひどい時は乾いた布で拭きとるのもおすすめです。

3つ目は「ガラス板」。

他にもステンレスなど、平らで熱に強い素材でしたら大丈夫です。コテ先はかなりの温度になるので安全な環境で作業してください。熱に強い作業台を手配しておきましょう。

手順

ヒートカット やり方

それではヒートカットの手順を見ていきましょう。

ヒートカットの手順
  1. ヒートカット可能な生地と刺繍糸を使って刺繍
  2. 裏面にアイロン接着シートを貼る
  3. ヒートカット

まずは刺繍から。生地と刺繍糸は、ヒートカットに適した素材を選ぶ必要があります。(後ほど詳しく解説します)

また、刺繍データを作る際にサテンのアウトラインを入れておくとやりやすいですね。品質向上にもつながります。

刺繍が終わったら必要に応じて裏面に「アイロン接着シート」を貼り、いよいよヒートカット。

ヒートカット やり方

ヒートカットの温度は高すぎても低すぎてもいけません。

まずは余剰部分を利用して、焦げない程度の温度で自分のやりやすい温度を探しましょう。素材やこてを動かすスピードによっても合う温度が変わってくると思います。

刺繍ワッペン作り

ちなみにアイロン接着シートまで焼き切る必要はないので、そこも温度調整する際の1つの目安になりますね。シートが焦げる場合は温度が高すぎる可能性があります。

うさぎの刺繍ワッペン

シートから剥がしたら刺繍ワッペンの完成です。(シールタイプのシート使う場合は、つけたままの状態でお届けします)

綺麗に仕上げるためにはいくつかコツがありますが、作業自体は単純なので回数を重ねるごとにどんどん上手くなっていくと思います。

ヒートカットできる生地と刺繍糸について

続いてヒートカットできる生地と刺繍糸のご紹介。

普通の綿生地やウルトラポスなどの刺繍糸ではヒートカットできないので注意が必要です。

生地(熱でカットできる素材)

  • エンブクロス
  • フェルト
  • ツイル

生地はポリエステル100%やナイロン100%など、コテでカットできる(熱で溶ける)ものを選びましょう。

ワッペン作りによく使用される生地は、エンブクロス、フェルト、ツイルの3点です。いずれも刺繍に向いた生地です。

エンブクロスは表面がタタミの様になっていますので、デザインに活かせば刺繍糸を節約できるメリットがあります。カラーも豊富に用意されています。

フェルトは手芸店で見かけるものはウール60%、レーヨン40%のタイプが多いですが、これはヒートカットできません。洗えるフェルトとして販売されているタイプ(ポリエステル100%のもの)でしたらヒートカット可能です。

ツイルも同じく、手芸店で見かけるものの多くは綿100%です。こちらもポリエステル100%の物が販売されていますのでそちらを利用しましょう。

刺繍糸(熱で溶けない素材)

  • 上糸:レーヨン
  • 下糸:カタン(綿100%)

逆に刺繍糸は熱で溶けないものを選ばなければなりません。

上糸にレーヨン、下糸にカタン(綿100%)を使うのが無難です。どちらも熱に強い素材なので、万が一下糸が表に出たとしても溶けることはありません。

(サテン幅を確保でき、糸調子もしっかり管理できるなら、下糸はポリエステルのままでも大丈夫です)

ちなみにうちでは上糸はパールヨットのレーヨン、下糸はカタンを使うケースが多いです。

綺麗な刺繍ワッペンを作るためのヒートカットのコツ

最後に綺麗な刺繍ワッペンを作るためのヒートカットのコツをまとめておきます。

何度もやっているうちに自分流のやり方が見つかると思うので色々試してみてください。

ヒートカットのコツ
  • 温度調整をしっかりする
  • こての汚れをこまめに拭き取る
  • 生地と刺繍糸(アウトライン)の色を合わせる

最適温度をつかむ

まずは基本ですが、適した温度を把握しましょう。フェルトやツイルなど、素材によっても変わってきますし、動かすスピード(その人の個性)によってもこれは変わってきます。微妙な変化で焦げてしまったり、逆にきれいに切れなかったりしますので、自分に合った温度管理をしてください。

こての汚れをこまめに拭き取る

次に大切なのは、コテ先に付いた汚れをこまめに拭き取ることです。

溶けた生地はこての先に付着するので、そのままヒートカットしてしまうとワッペンの表面について固まってしまいます。これだと見栄えが悪いので、こてクリーナーでこまめに拭き取りながら少しずつカットしていきましょう。

また、水を含んだスポンジだけでは上手く拭きとれない場合があります。その際は金属製のタイプや乾いた布を使って丁寧に拭き取ることをおすすめします。

尚、コテ先は消耗品です。定期的に新しいものと交換しましょう。

生地と刺繍糸(アウトライン)の色を合わせる

生地と刺繍糸の色を合わせるのもポイント。

溶けた生地はワッペンの側面に付いて残るので、この際に生地と外枠に使った刺繍糸の色が違うと目立ってしまいます。色の組み合わせによっては非常に見栄えが悪いです。

同じ色、もしくは目立たない色の組み合わせにすることをおすすめします。

アップリケの要領で作成する

ヒートカットの扱いだけではどうしても汚れに対応できない場合は、アップリケの要領で作成する手法もあります。

こちらは手間はかかりますが、ワッペンの端を綺麗に処理することが可能です。刺繍屋さんによっても様々なやり方があるので、やり方の1つとして試してみてください。

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