こんにちは!糸の帆(itonoho)のやまもとです。
刺繍データ作りをしていると、表面がきれいでも裏面が汚くなることがあります。特に小さい刺繍ですね。初心者にありがちです。
ここではその対処法について実例を元にご紹介したいと思います。
小さい刺繍は裏面が汚くなりやすい
今回は分かりやすいように「テントウムシ」の画像を用意しました。テントウムシは刺繍データ作りの練習には最高の題材です。
まずはそのままオートパンチして裏面の様子を見てみましょう。
大きい刺繍はこのままでも綺麗にできるので、今回は小さな方のみを見ていきたいと思います。
実際に刺繍したのがこちらです。(糸はミシン刺繍における標準サイズ(120d)を使用)
表面はまだきれいですが、案の定裏面がすごいことになりましたね。何せ1cmしかありませんから当然こうなってしまいます。
これでは使い物にならないので刺繍データを修正する必要があります。
ミシン刺繍の裏面が汚いときの対処法
それでは刺繍データを調整していきましょう。
ミシン刺繍の裏面が汚い時は下記の4つの対処法を参考にしてみてください。
1、密度を下げる
1つ目は刺繍の密度を下げてみること。密度というのは、単純に「ステッチ間隔」と「糸の使用量」のことです。
丸みをはっきり出そうとするとステッチを細かく入れたくなりますが、そうするとデザインを上手く表現できないだけでなく、生地を傷めることにもつながります。
例えば0.5mmくらいのステッチが続くと、かなり硬い刺繍になりますよね。ソフトによっては微小ステッチは省いてくれますが注意すべきポイントです。全体的な密度でいえば、1mmの間に糸が4本くらいを目安にすると良いでしょう。
ちなみに、密度を下げる事によってスカスカになるのが怖いという方は、上縫いの密度を上げるのではなく「下縫い」を工夫してみてください。こちらの方があきらかに効果的です。
母材となる生地の質にもよりますが、バランスを見ながらトータル的な密度が少なくなるように調整してみてください。
2、コラムとランニングを切り替える
2つ目はコラムとランニングの切り替えです。
サテンで作る太めのステッチは、柱や円柱型になぞらえコラムと呼ばれます。ミシン刺繍では使用頻度が高く、今回のテントウムシでも触覚や足に使われていますね。
ただし小さな刺繍の場合、コラムはごちゃごちゃしてしまうので、ここはシンプルなランニングにした方が良いでしょう。一本で弱く感じる場合は2重に縫ったり、トリプルランニングを活用してみてください。2重に重ねるときは糸を傷めないように針落ちをずらすこともあったりします。
3、デザインをシンプルにする
3つ目はデザインをシンプルにすること。
小さな刺繍においては、デザインを簡略化することも一つの手ですね。今回の例でいえば、星の数を減らしたり、足や触覚をなくしてしまうのもありかもしれません。
また、アウトラインが必要かどうかも重要です。
絵の場合は鉛筆で線を書いて色塗りすることが多いため、基本的にアウトラインが入っていますよね。このアウトラインを消すことで縫いずれもなくなりますし、無い方が見栄えが良くなる場合もあります。
4、糸切りを少なくする
4つ目は糸切りを少なくすること。
裏面が汚くなる原因の第一に挙げられるのが糸切りの多さです。小さい範囲こそ「つなぎ糸(ランニング)」を使ってほつれ止めや糸切り回数を減らすようにしましょう。
ソフトによってはつなぎ糸を最小限にする機能が付いているので、そういった機能を上手く使いこなしたいところですね。
なお、今回のような簡単な刺繍の場合には、マニュアルパンチしてもさほど時間はかかりません。むしろマニュアルの方が綺麗に早く仕上がる場合もあります。
デジタイズの方法は様々ですが、一例として下記のようなステッチにすれば途中で一度も糸切りすることなく刺繍することも可能です。
星や足などをひとつの流れでステッチし、周囲のアウトラインはしっかり表現したいので2重にステッチしています。
動画だと分かりやすいかも。
実際刺繍するとこんな感じです。
星の数を3つに減らしてアウトラインをつなげたものですが、これで裏面が随分ときれいになりましたね。
もうひとつ、アウトラインを入れないパターンもやってみましょう。
この場合も下記のように黒いラインは全てランニングで繋ぎます。(ソフトに任せても手で繋いでもOK)
あとは黒→赤の順に刺繍すればつなぎ糸は隠れ、裏面も先ほど同様きれいになるはずです。
裏面の糸を意識しながらデジタイズできるようになると、より綺麗な刺繍が作れるようになります。
コメント